ホテル・ゲッレールトはかつて温泉と、その朝飯の豪華さで気に入っておりました。なにしろ朝飯でパンもハムも暖かい食べ物も、そして朝からケーキだって美味しかったのです。
それが、そのメリットが二つとも無残にも崩壊しております。温泉は最初の一回がただなだけで、あとからは半額を払えというし、朝ごはんに至っては無残な姿をさらしておりました。その上、妙に背の高いウェイトレスは全く愛想というものを備えていなくて、「May I have another cup of coffee, please?」とお伺いしたらなんと「ん、ふ」と答えたであります。こんな若い娘が社会主義時代に育てられたわけでもないだろうに、こうなってしまうというのは社会がこうさせているというしかありますまい。だいたいソ連に振り回されて社会主義体制にあったチェコやハンガリーのような国ではどうしてもサービス業というものが発達しにくい。これは中国でも一緒ですが、文化・風土というものはそう簡単には変わることができないという実験をしているようです。ホテルに帰ってきてからいよいよ無料の温泉、一回分を実行。なんと今年の一月からトルコ風風呂部分（ミスト・サウナやサウナ、38℃の浴槽なんかがあります）が両翼に男女別になっていたものが誰でもどれにでも入れるようになっています。今まで、男風呂ではスッポンポンも許されていたし、越中褌みたいなのもあったのですが、全部普通の水着着用になったわけです。さぞかし、昔気質の人たちはブーブー言っていることでしょう。一昨年ここで出逢った、20年通い続けているといっていたあの日本人男性なんぞはさぞかし湯気を立てて怒っているにちがいありませぬ。
ここの街は地下鉄が古くて有名だけれど、何しろ私たちはトラムが好きで、景色を見ながら思い立ったところで降りることが可能というのが面白い。49番のトラムの終点、デアークフェレンツ広場まで行ってから裏道を歩くと古いビルが軒並み残っていて嬉しくてしょうがない。写真を撮って歩いているうちにどんどんなんだか怪しいところに入ってきたような気がして目抜きのアンドラーシ通りへと曲がります。もっともお金が払底していますからCITI-bankのATMでフォリントをクレジットで借り出します。3万フォリントが日本円で多分14,000円ちょっと
金もできたので、どこか知らないところに行ってみようということで、通りかかったロータリーバス74番に飛び乗りました。多分、シナゴーグ辺りからきたもので、市民公園の裏の方向に走って行くはずだ、という読みです。このバスはどんどん北東に走って、最後は団地の中で終点になりました。なるほど、この団地に住んでいる人にとっては重要な足です。ここからは同じ路線を走りながら途中の地下鉄M-1の終点、Mexikoi ut駅までしかいかない74Aというバスも走っています。終点の駅でトロリーバスをおりてトラムに乗ろうとしたら途中の建物の裏に開いている扉があって、それがトイレだったので、もっけの幸いと入って用を足して出てきたら、おばさんが怒鳴っている。なんだと思ったらどうも、ここは公衆トイレではないらしい。なんか言っているけれど、全然わからない。「はい、はい、わかりましたよ」といって出てきたけれど、この駅、トイレなんてないんである。どうやら交通局の建物らしい。だったら余計に客に使わせろよ。
昼食をとろうと中がキンキラキンで超有名なNew York Cafeに行ってみると超満員で並んでいる！カフェ・ジェルボウもそうだけれど、この街でまともなカフェといったら数える程だから観光客が押し寄せるってぇわけです。
それなら中央市場に行ってやっつけようとやってくると、こちらも二階はワンワンしております。それでもどうにかこうにか、芋とサラミの炒め物とザワー・クラウトの盛り合わせ、それからお米を詰めたロールキャベツと野菜の炒めものをそれぞれ食べて3,000HUFもしました。一階に降りると一軒の八百屋に列ができています。何かと思ったらここはやたら安い！周りの店はどうして値下げしないのだろうと思っているうちに二軒となりにも美味しそうで多少やすい苺を売る店を発見。1kgあたり498HUFで半分で充分。しかも、欧州のイチゴにしてはうまい。尤も今、まさにシーズンでしょ？大きさバラバラです。
ホテル近くに戻ってきて小さなスーパー、その名も「ファミリー・マーケット」で水を買ったのだけれど、その店先にポッカの飲み物を発見！こんなところまで売りにきているのか、ポッカ！？
変化
一昨年に比べると随分街中が荒れてきているような気がする。東駅前や、中心地が工事中だということもあるのかもしれないけれど、とにかく物乞い、もしくはその一歩手前という人たちが溢れている。交差点の地下道にホームれすがたむろっていたりする。急激に悪化しているということなのだろうか。多分格差がドンドン拡がっているということではないだろうか。
